【配信】
- アジア同胞の熱い連帯と共感が生んだ ライブを超えたライブ!!
- アジアの同胞よ
文明がたどり着いた道程をたどって
我々はここへ来た。
同胞よ、
我々は文化がほとばしり来た水脈を
たどって、ここにやって来た。
我々が携え持ったこの音楽が
時を超え場所を越え、
愛と理解の絆とならんことを願って。
喜多郎
- 曲目
- 1 地球創成 / EARTH BORN
2 キャラバンサライ / CARAVANSARY
3 シルクロードのテーマ / THEME OF SILK ROAD
4 コズミック・ラブ / COSMIC LOVE
5 空の雲 / CLOUD
6 和太鼓 / JAPANESE DRUMS
7 ロシアへの想い / RETURN TO RUSSIA
8 オリオン / STRAIGHT' A WAY TO ORION
9 マレーの星 / DAWN IN MALAYSIA
(GETARAN JIWA)
- Musicians
- KITARO: Keyboards
KORG 700S, KORG 800VD, PROPHETS, YAMAHA DX-7, ROLAND VP-330. ROLAND JUPITER-8
SHOJI FUJII: Drums YAMAHA YD-9000-R, PERCUSSION
SATORU NAKATA: Drums SLINGER-LAND, PERCUSSION
HIROSHI ARAKI: Guitar GIBSON 335, OVATION
TOMOYUKI HAYASHI: Keyboards
MINI MOOG, KORG POLY-6, YAMAHA DX-1, YAMAHA DX-7, MOOG SOURCE
MASAJI WATANABE: Keyboards
ROLAND SH-3A, ROLAND VP-330, ROLAND JUPITER-8, YAMAHA DX-7, EMULATOR
- Staff
- Produced by TAKA NANRI for Sound Design Inc.
Associate Produced by MOKO NANRI
Engineered by ATSUSHI KAJI
Live Recorded at Shanghai, Kuala Lumpur & Kota Kinabal
Remixed at Sound Design Studio (Tokyo)
Stage Manager: KAZUO TOYODA
P.A. System: FUYUO SAKURAI (Leo Music)
Lighting System: RYUICHIROU TAKAGI (Lighting Big1 Co., Ltd.)
Music Iustruments: ATSUSHI KAJI & YOSHINORI KATAKURA (Sound Design) This Concert Produced by Sound Design Inc.
Music and Arrangements by KITARO Music Copyrights Controled by Sound Design Music Inc.
Photography: NOBUHARU KONDO, NAOKI FUKADA
Design: AKIRA YAMAMOTO
- ASIA TOUR
- '83 2nd 3rd Sept.
Taipei (Taiwan Gymnasium)
台北(台湾体育館)
6th-7th Sept.
Hong Kong (Queen Elizabeth Hall)
香港 (クィーン・エリザベス・ホール)
'84 2nd Aug.
Shanghai (Shanghai People's Gymnasium)
上海 (上海人民体育館)
9th Sept.
Kuala Lumpur (Garden Park)
Malaysia
クアラルンプール(ガーデンパーク)
マレーシア
11th Sept.
Kota Kinabal (State People's Gymnasium)
Malaysia
コタキナバル (市民ホール)
マレーシア
- オリジナル ライナーノーツ
- 喜多郎のライブが有数のクオリティを保ち続けているのは何故か!? 答えは簡単だ。
まず喜多郎とバック・ミュージシャン達の演奏の素晴らしさ。次にはステージを支えるスタッフとそのマネージングの素晴らしさだ。どちらにも、絶妙なチームワークが必要とされる。特に後者は人の目に触れない“裏方”の仕事ではあるが、これ無くしてはライブそのものが存在しなくなるくらい重要である。喜多郎のライブに一度でも足を運んだことのある人ならお分かりのように、音響の完璧さ、照明の豪華華麗で的確なことに必ずや感心したはずだ。舞台監督以下、大勢の人達のチーム・ワーク があって、喜多郎ライブが人々の目に、耳に届いているのを知ってほしい。
ついでに付け加えさせていただければ、こうした喜多郎側のスタッフとライブが行われる現地のプロモーターとのコミュニケーションがうまく行っているかどうかもライブを成功させる大きなカギになる。国内では我々が微力ながらお手伝いさせていただくことが多く、この点でも満足のゆくライブをご覧になっていただいているはずである。
これが海外でのライブとなると、苦労や心配事が二倍にも三倍にもなってくる。第一に機材や楽器を運ぶだけでも大変だ。喜多郎の場合、4トントラック3台分の荷物が必要なのだから、送りつけられた現地のスタッフが度肝を抜かれるらしい。
どんな場所での公演にも手は抜かぬ、というポリシーもいかにも喜多郎らしい。普通なら「海外なのだから・・・」といって手を抜きそうなところだが、彼らは絶対にそれをしたことがない。
今年8月2日には中国の上海で喜多郎は公演を行った。この時も「決して手抜きはしない」というそのポリシーを貫き通している。繰り返して言うが、国内ではなくあの中国で同じようなステージを披露したのである。
喜多郎のマネージャーである南里氏によると、舞台設営に使うパイプ一本一本に「説明が必要だった」そうである。納得してもらった後は実際にそれを調達するまでがまた至難の技だったらしい。 中央政府に申請してから物資が手に入るまで数ヶ月要することもあるというのだから。
上海の場合、現地の人々が昼夜たゆむことのない努力と協力をしてくれたおかげで、中国史上初の大規模なコンサートが実現されたが言葉や習慣が違う国でのコンサートの実現には、そのスケールの大きさに相乗して困難が伴うようだ。
上海公演を終えた喜多郎は、マレーシア(2カ所) シンガポールへと旅立った。これは来年3月から開催される「科学万博・つくば '85」のPRを兼ねた" 音楽使節”としてだが、シンガポールではテレビ・ラジオ・紙面でご承知のような長髪による“入国拒否問題”に遭っている。シンガポールのファンは、さぞがっかりしたことだろう。
このアルバムは、これらの困難を克服した末に出来上がったものだ。かといって、海外ツアーのプレッシャーに四苦八苦した揚句の出来というわけではなく、かえってノビノビと大らかに“喜多郎サウンド”を謳い上げているのは流石だ。というよりも、日本 (という島国)から抜け出し、アジアというより大きな舞台で演奏しているという、よりスケールの大きなパフォーマンスが見られるというのは、やはり“世界にはばたく超大物”という喜多郎の面目躍如たるものがあり頼もしい限りだ。いよいよASIA TOURの模様と興奮を伝えるこのアルバムに耳を傾けてみよう。
まず気がつくことは、喜多郎の新旧にわたる名曲を集めた "アンソロジー” 言葉を代えていえば“グレイティスト・ ヒッツ”ともいえる構成になっていることだ。あの「シルクロード のテーマ」が、あの「キャラバンサライ」が・・・、というわけで ある。しかも、これまでのスタジオ録音とも違った味わいがあって、それがとてもいい。普通ライブ盤に収められているものとスタジオ録音を比べた場合、スタジオ録音のものが演奏においても音質においても数段上回わるというのが通り相場 だった。一般的なライブのメリットといえば、ステージの臨場 感が味わえるくらいだろうか。しかしこの『亜細亜』は、そうした “ライブ盤”に対するネガティブな認識を根底からくつがえ すアルバムになっている。
冒頭で述べたように、演奏がとてもいい。 スタジオ録音の ものと比べてみてほしい。 ライブでの息遣いが伝わり、曲の 構成や抑揚が微妙に異るので、 まるで新しい曲に接するよ うだ。昨年発表された名アルバム 『飛雲』に収録されている「ロシアへの想い」や「オリオン」で、ひとつのテーマから次々とウネルように曲が展開してゆくさまは、まさにライブの醍醐味であり、このアルバム中の圧巻でもある。
「和太鼓」が初めてこのアルバムに収められたのも話題になるだろう。 実際のライブでも見せ場のひとつになっており、喜多郎ファンからは、かねてからレコード化が待望されていたものだ。
アルバムの最後に「マレーの星」という曲が収録されて いる。これはマレーシアで人気がある美しい曲だが、あたかも喜多郎自身の曲であるかのように響く。 喜多郎が自分自身の手になる曲以外のものをレコード化するのは初めてだが、そうした曲でさえ自家薬籠中の物にするあたり、喜多郎 の懐の深さをうかがわせるには十分だ。
マレーシアといえば、コタキナバルではコンサート直前まで会場内の混乱が続いたという。マレーシアに限らず、 東南アジアでのコンサートにはこの種の混乱が付き物だ。喜多郎のコンサートは、静寂の中からおもむろにシンセサイザーの音が響きわたるというパターンだが、一時は「このパターンを断念せざるを得ないのでは・・・」という事態に陥ったらしい。しかし彼らはあえてこのパターンでコンサートを始めてみた。するとどうだろう、それまでのざわつき喧騒がウソのように静まり、聴衆は喜多郎の音楽に引き込まれていったという。
やはり、シルクロードの音楽でも証明したように喜多郎の音楽にはアジアに住む人間に共通したバイブレーションに訴える魅力があるようだ。
こうした聴衆の反応は、上海でも台湾でも香港でも見られたという。イデオロギーや社会状況というワクに全くとらわれない喜多郎とその音楽の人気は、「やっと日本からユニバーサルなポピュラー・アーティストが出て来たな」という感慨を強くさせる。
喜多郎のレコードはヨーロッパやアメリカ、カナダでも好セールスを記録している。 ここでアジア同胞としっかり手を握り合い、心が通じ合ったライブレコードを発表するということは、次に目指す世界戦略のためにも必要だったように思う。
キョードー東京 内野二朗