CRYSTAL

【配信】

 ■3rd Album 2000年作品

○○○○○○○○イメージ
感動のヒーリング・オカリナ 第3弾!
この“寿和サウンド”に身を投げ出していると、時間、場所、時代などを忘れさせる不思議な空間が現出してくるようだ。
心を奪われる至高のドリーム・ミュージック

曲目
1.クリスタル / Crystal
2.悲しみの沈黙 / Silent
3.ガラスの翼 / Glass Wing
4.虹 / Rainbow
5.氷の輝き / Frost
6.クリスタル・フィールド / Crystal Field
7.蜃気楼 / Mirage
8.星のかけら / Falling Star
9.天使の涙 / Tears
10.ミスト / Mist
11.妖精たち / Fairy
レコーディング・クレジット
Producer - TAKA NANRI
Associate Producer - Moko Nanri
Ocarina - TOSHIKAZU
Computer Programmer - Norikazu Osawa
Recorded at Sound Design Studio (Tokyo)

オリジナル ライナー・ノーツより
 このところのオカリナという楽器の人気にはただただ驚く。特に音楽ファンの間に浸透して行くそのスピードは、1960年代、あのベンチャーズによってもたらされたエレキ・ギター・ブームの時に匹敵するのではないか、とさえ思う。もちろん楽器の規模や値段、それに時代も全く異なるので、比較すること自体あまり意味のあることではないのを承知の上で言うのだが、 楽器そのものがクローズアップされることはめったにないので、ついつい昔のことを思い出してしまった…。とにかく、宗次郎と並ぶそんなオカリナ人気の立役者である寿和の新アルバムが完成した。

 寿和のアルバムは「スピカ/星宿」、「星の巡礼」に続き、これが3作目になる。前作のアルバムの解説原稿の中で筆者はこんなことを書いた。

 「実際、この“寿和サウンド”に身を投げ出していると、時間、場所、時代などを忘れさせる不思議な空間が現出してくるようだ」と。

 この表現は、そっくりそのまま今作にも当てはまる。中でもタイトル曲になった冒頭の「クリスタル」は、寿和の音楽感をストレートに表しているようで特に興味深く、強いて訳語を当てるなら、一般的な“水晶”よりもう少し広義な“結晶”の方が相応しいのではないかと思った。この1曲がアルバム全体を象徴しているといえるほど気持ちの良い内容に仕上がっていること、それはお聴きになる方がいちばん良く判ることだけれど。

 そういえば「気持ちの良い」という表現を近頃巷でよく目にするようになった。このフレーズ、一見ソフトで、受け入れやすく思えるが、実はなかなかの曲者のように思える。それは兄弟語 (?) の「地球にやさしい」なども同じなのだが、“真の”「気持ち良さ」や「やさしさ」は、一朝一夕には生まれないということ、つまり流行だからと安易に使ってもそれに見合う内容はなかなか付いてこない、ということなのだが、この寿和の演奏はそんな心配とは無縁である。これも、本アルバムを聴く方には不必要な“解説”ではあるのだけれど。

 本アルバムは、これまでの寿和のアルバムと同じく名プロデューサーの南里高世氏の手になるもので(南里氏は、かつて喜多郎や宗次郎を育てたことで知られる)この点にも注目してほしい。 南里氏が、オカリナの音の魅力をできるだけ忠実に再現するよう心がけてアルバムを制作したことはよく判る。しかし それ以外にポイントになることもあるのではないか、と質問してみた。その答えが以下の発言である。
 「オカリナ以外ではヴァイオリンの使い方に苦心しました。ヴァイオリンはクラシック音楽の楽器という印象が強く、ポピュラー畑でもジャズや、フィドルという呼び方でのカントリーの楽器という特殊なイメージが付きまといます。これらのイメージを払拭して、楽器そのものが持つ本来の魅力を素直に出したい、そんな思いが強かったですね、うまく表現できたかどうかは、聴かれる方の判断にゆだねますが」

 また、南里氏は「曲そのものも、いろんなタイプのものを取り入れることにより、オリジナリティ豊かな内容で、居ながらにして世界を旅しているような気分になってもらえたら本望です」とも付け加えている。

 筆者の印象を加えながら南里氏の言葉を補足するなら、このアルバムはひとつひとつの楽器を大切に扱うことにより、“主人公” であるオカリナの魅力がさらに増幅されたといえそう、つまり、1+1が 「2」 以上の 「3」にも「4」にも なって返ってきたという好結果を生んだといえるようである。

 音楽に肩書きを付けないと何となく落ち着かないという悲しい習性を持つ日本人は、この手の「気持ちの良い」 音楽をすべて<ヒーリング>とか<癒し> という言葉でひっくくってしまいがちだが、寿和の演奏は (特に今作は)そのような安易なジャンル入りを頑なに拒否しているかのように感じられる。 それがまた妙に魅力的だと思うのは、ヘソ曲りな筆者だけではないと思うが…。

< 2000/05 宮本 啓 >

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